富士製紙協同組合は、地元の中小製紙業者が出資し、結成されました。 昭和30年代、日本の高度経済成長期には、大量生産•大量消費とともに、公害や自然破壊など環境悪化が急激に進みました。昭和40年代に入ると富士市においても製紙産業を原因とする大気汚染、水質汚染が問題となり、昭和42年市議会では公害対策特別委員会が設置され、市民からも環境に対する声が多く寄せられるようになりました。当時の富士市は全国から公害のデパートと揶揄されるほどの状況でした。行政のご指示•ご協力をいただきながら公害との戦いが始まったわけです。 水質汚染への対策の為、製紙各社は排水を浄化してから放流することとしましたが、処理した残渣のPS(ペーパースラッジ)の処分が問題となりました。 このため、大手製紙会社は各社で、中小製紙会社は共同でPSの焼却場を建設することが求められました。これを目的といたしまして、富士製紙協同組合は昭和48年11月に設立されました。 富士製紙協同組合は、組合員製紙業の製造における最終工程として、PSの処理事業の安定かつ円滑な運営を目指しています。これからも万全を期して、PSの処理事業に取り組んでいきます。引き続き、関係各位のご協力をお願い申し上げます。

　富士地域は製紙産業の一大拠点として発展してまいりましたが、同時に環境汚染が深刻化し、特に田子の浦港のヘドロが大きな社会問題となりました。製紙会社各社はこのような状況を鑑み、環境への影響を最小限に抑えるため、行政の協力を得ながら製紙排水の浄化を行い、その後に放流することとしました。また、残渣であるペーパースラッジ(PS)については、当初は埋め立て処分していましたが、埋め立ての限界を考慮し、焼却処理後に埋め立てることとなりました。 当組合は富士地区の中小製紙会社が共同でPSの焼却を行うベく設立されました。桑崎町•今 宮町にご理解をいただいて建設を開始し昭和55年に設備完成、焼却事業を開始いたしました。産業の発展と環境保護の両立を目指し、先人が苦労され、地域の方々のご理解をいただきながら、大切に守ってきた組合であります。 PSの処理は不可欠な要素であり、当組合の焼却事業が停止すると、富士地区の中小製紙会社 の生産に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、当組合は製紙工程の一部と言っても 過言ではありません。 紙は元来木材繊維から作られる素材であり、安全性が高く、加工も容易で、リサイクル可能な素材として広く使用されてきました。最近では、廉価な石油製品やプラスチックに置き換えられる場面もありますが、持続可能な社会やCO2排出の観点から再評価されています。 かつては当組合の焼却灰は全量埋め立て処分されていましたが、現在ではリサイクル利用が進んでおり、引き続き有益な用途を探りながら、製紙業全体の持続可能性を高める取り組みを行っています。 今後も富士地区の製紙業の発展のために、富士製紙協同組合は努力を続けてまいります。引き続きご指導とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
理事長　山田信英